×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

岩城村バードウォッチングマニュアル


1998年の野鳥観察日記

98.12.26
鳥たちは甘いのがお好き?
 今年の島のミカンは、気象条件が良かったせいか、例年になく甘い果実となりました。しかも、作柄は裏年で不作となり、価格は予想外の高騰です。農家にとっては悲喜こもごもの結果となりましたが、そんな人間界の心模様を知ってか知らずか、ヒヨドリたちがミカン畑を飛び交います。でも、不思議なことに、同じ1本の樹の中でも一番甘い果実からついばむのです。もちろん、一枚の畑の中でも一番早く甘くなる樹から集まってきます。まるで精密な糖度測定センサーを体内に備えているかのようです。だから島の人たちも、畑でおいしいミカンを食べようと思った時には、必ずヒヨドリの食べ差しから食べるのです。

 このヒヨドリの食べ差しに、今度は小さなメジロが続きます。甘くておいしいことは既にヒヨドリが実証済みですから、、、。メジロのあの美しい声は、こんな甘いミカンをいっぱい食べるからでしょうか???

 しかし、この鳥たちの食害は、農家にとっては頭の痛い深刻な問題です。せっかく手塩にかけて育てた収穫直前の甘いミカンを、むざむざ鳥に食べられてしまうのは、なんとも偲びがたいことなのです。経済効率優先の人間社会にあっては、この鳥たちは全て憎っくき害鳥となってしまうのです。共生もなかなかうまくいかないもんですね。

 鳥たちの楽園、島のミカン畑も収穫が終わってしまうと静けさを取り戻します。代わりに賑やかになるのが、最近、急激に増えつつある荒廃園です。高齢化が進んで作られなくなった畑は、せっかく実ったミカンも収穫されないで樹の上に残されたままです。でも、そのミカンが鳥たちの貴重な餌になっています。しかし、これらのミカン園も数年で荒れ果てて果実を着けることすらできなくなるのです。嗚呼、、、。

98.10.28
ジョウビタキ、里におでまし
 秋も深まり、農作物の収穫が進む中、カラフルなオレンジ色のジョウビタキが目につく季節となりました。人をあまり恐れないので意外と近くでじっくり観ることができます。

 「紋付」と呼ばれる翼の白斑が目をひき、御辞儀をするような愛らしい仕種と「カッ、カッ、カッ」という乾いた地鳴きで目立ちます。畑仕事でもしていると近寄ってきて、人が掘り返した後の土の中から虫などの餌をチャッカリと拾います。

 雄の派手な色に対して雌は灰褐色の地味な色の冬鳥です。

98.9.20
カワセミ=ウミセミ=イケセミ???
 カワセミの目の冷めるようなスカイブルーは、バードウォッチングAコース起点付近の殿田池(溜池)で観ることができます。光の当たり具合で七色に変化する羽の色は、とても神秘的で言葉では言い表せないほどです。

 ところで、島のカワセミの活動範囲は川だけではありません。実は、この島の川には、いつもは水が流れていないのです。土地の傾斜が急なのと、山が浅いのとで大雨が降った時しか水は流れていないのです。カワセミも、そんな当てにならない川での生活はさっさと諦めて池と海を生活の場にしているのです。小船の舳先に止まって、ボラの幼魚を狙っている様子は、ちょっと絵になる光景ですが、カワセミという呼び名はこれでいいのだろうかと考えてしまいます。やはり、この島では、ウミセミかイケセミということになるのでしょうか???

渡りの季節が・・・
 春に生まれた若い燕たちも、いつの間にか逞しい体付きになり、力強いはばたきをみせるようになった、と思っていたら、もう渡りの季節です。

 積善山の頂では、パラグライダーのオジサンたちを尻目にサシバが上昇気流を狙っています。ここは、山陽道から、しまなみ海道を通って四国高縄半島に続くルートが一望できる場所なのです。佐田岬や高茂岬のように大群の鷹柱は立ちませんが、良く晴れて風が安定した日には一羽、二羽、ぽつりぽつりと巧みに上昇気流をとらえては、遥か彼方へと翔び去って行きます。サシバの他にも、思いがけない鷲鷹類が視野に入ることもあります。

98.8.12
ヒクイナの交通安全教室
 このところ、野生生物の都市化が進んでいると言う情報を多く聞く。この島に住んでいる野鳥の世界でも、同様の現象が起きているようだ。普段より少し早めの通勤途上、島で一番の幹線道路、県道174号線上の、しかも人家が密集している小学校のすぐ近くで、なんと、あの警戒心の強いヒクイナがいたのである。2羽のヒクイナは、小学生が普段から最も良く使う横断歩道のすぐ近くで、県道上を行ったりきたり、我が目を疑って思わずブレーキを踏んでいた。流石に車が止まると、ヒクイナたちは、自動販売機の影から、その裏手に続く休耕田へと入っていったが、まさかこんな所に生息していようとは、信じられない思いだった。確かにその休耕田の上には、荒れた畑やため池が続いており、餌には困らないだろうが、なんと言っても、警戒心の強い鳥の筈だが、、、。あとになって、よくよく考えてみるに、これも一種の都市化現象で、他の天敵から逃れて、なおかつ、暮らしやすさを求めた結果かもしれないと、頷いた次第です。

しかし、あの県道上を行ったりきたりは、まるで、子供達が横断歩道を渡る練習をしている様にしか見えなかった。かくして、これも都市化に対応した交通安全教室を開催していたのかもしれないという結論に達したのである。そういえば、最近は、犬猫以外にも、野鳥などたくさんの生き物が交通事故に遭遇して、その命をはかなく散らせている現状をよく見ている。願わくば、このヒクイナたちの交通安全教室が実りあるものとなって、事故から彼らの尊い命を守って欲しいものである。

注)ヒクイナ:ハトよりやや小さく、赤茶色の地味な色彩の鳥。葦原に生息し、ニワトリのようにヒョコヒョコ歩く。警戒心が強くなかなか姿をあらわさない。驚くと素早く葦原に逃げ込むが、息を潜めてじっとしていると再び姿をあらわす。夏季に葦原で繁殖し、「キョッ、キョッ、キョッ、、、」と電子音のような声で鳴く。(愛媛の野鳥観察ハンドブックより)

98.7.14
イソヒヨドリはやさしく翔んで、、、
 島の海岸には、イソヒヨドリも多く住んでいて(留鳥)、テトラポットやコンクリート護岸の上で羽を休めています。遠目には、普通のヒヨドリと似た形なのですが、少し尾が短くて、翔んでいるときの雰囲気は、まるで優雅です。ヒヨドリのように大きな波形を描いて翔ぶではなく、まるで雪が舞うように、音も無く、はらはらと、か弱くはばたいて消え去ります。鳴き声も澄んだ音色で、どことなく涼し気です。島の海岸を散歩すると、そんなイソヒヨドリに出会えます。

98.6.11
蝙蝠さんのニュー・ライフスタイル?
 多々羅大橋を一望出来る西部地方の通称「ジャングル小屋」と呼ばれているKさん家の床の下では、何を思ったのか1匹の蝙蝠さんが住みついたそうです。野鳥の世界でも高層ビル群に営巣するハイカラな?ライフスタイルの種が増えているとか。しかし、こちらは橋も架からないで島の出来事。何が気に入ったのか、よほど住み心地が良いとみえて一向に出て行く気配は無いということです。蝙蝠はドラキュラや悪者の使者かと思いきや、中国では幸福の印とか、はてさて、蝙蝠さんの心境や如何に。
 小鳥たちは今が子育ての真っ盛り。どちらを向いても、朝から晩までピーピー、ギャーギャー、うるさいことしきりです。しかし、最近では、鳥たちの生存競争も厳しく、カラスが小鳥の雛を襲ったり、簡単には生き残れないようです。

98.5.11
小雨そぼ降る菰隠鼻に白いホテルの建物をかすめるようにアマツバメが翔んでいた。普通のツバメより少し大きめで、羽の形もまるでブーメランといったかんじ、おまけに翔び方もブーメランそのもの、豪快に弧を描いて天空を駆ける様を見ていると、何故か心がスッキリする。

98.5.4
ヨタカの鳴き声は何故か哀しく響く。バードウォッチングAコース起点付近で夕暮れ時から鳴き始め、深夜11時近くまで鳴き続けている。とても言葉では言い表せない奇怪な鳴き声で「キェッ、キェッ、キェッ、キェッ」と続くと、まるで「私にこんな哀しい名前を付けたのは誰?」と問い続けているようだ。



バードウォッチング表紙へ