岩城村バードウォッチングマニュアル

   


2000年の野鳥観察日記

2000.12.14
ハヤブサの交通事故???
 12月11日午後3時頃、岩城中学校の北側校舎1階上部の透明ガラス窓にタカがぶつかって負傷していると言う連絡が入りました。
 早速、現場に行ってみると、ご覧のとおり窓ガラスが砕け散っており、衝突時の衝撃の強さが伺われます。キジバトを追いかけていての出来事だったようです。狩りに夢中になって、後少しのところまでキジバトを追いつめて、透明な窓ガラスを避けきれなかったのでしょう。

 お気の毒なことに、キジバトは、すでに息絶えており、校庭の隅に手厚く葬ってあげたそうです。割れた窓を通り越して教室内に墜落したハヤブサは、かなりな深手を負っており、どうやら左主翼が骨折している模様です。かなりの出血もしていました。これでは素人が手当てしても助からないだろうと判断し、新居浜総合科学博物館の山本貴仁学芸員に相談したところ、砥部動物園に保護してもらった方が良いと言うことになりました。ちょうど運良く次の日松山出張だったので車で運ぶことにしました。

 いつもの出張より少し早めにでて、午前10時過ぎに、ダンボール箱に入れたハヤブサを目的の砥部動物園に無事届けることが出来ました。もし、途中で息絶えるようなことがあったら、猛禽類の重金属汚染を調べるためのサンプルとして確保して欲しいと言う山本さんからの伝言も伝えました。
 最近、いろいろな野鳥が、だんだんと人間たちの生活に馴化しており、こうした悲しい事故は増える一方です。世紀末にとんだ災難に遭ったハヤブサですが、一日も早く回復して、島の上空に舞い戻って欲しいものですね。

(写真上から:割れた中学校の窓ガラス/全治5ヶ月(?)の重傷を負ったハヤブサ)

2000.11.29
錦おりなす積善山
 瀬戸内の島々にも、いつのまにか冬が近づいてきました。
 夏の水不足で樹木が枯れかかっていた積善山も、なんとか紅葉が始まりました。ウバメガシなどの常緑照葉樹を残して、ハゼやウルシの鮮やかな朱色、コナラ、クヌギなどの黄色と、色とりどりに染まっていく様は、まさに錦おりなすといったところでしょうか。深山幽谷の紅葉とは一味違って、抜けるような青空をバックに、日一日と色を変えていく様を楽しめます。

 段段畑のミカンが黄色く色づいて甘さが一段と増す頃になると、鳥たちも、そろそろ人里近くに降りてきます。 カラフルなジョウビタキが少し地味な雌とともに人家の庭先で遊んでいます。
 白いアイシャドウのメジロも果物のいっぱい在るお庭が大好きです。そうして小鳥たちが集まっているところに、突然バサバサッとヒヨドリが乱入してきます。最近、ミカンなどに食害を及ぼす害鳥として有名になったせいか、傍若無人の限りを尽くしています。害鳥としての学習効果も高く、柑橘類はもちろんのこと、柿やキウイフルーツなど庭先の果物なら何でもござれです。まだまだ、当分の間、人間たちとのし烈な生存競争が続きそうです。

 海岸には、遠い北国から海を渡ってきた雁鴨類が羽を休めています。磯先のワエ(潮の流れが緩くなって反転しているところ)に雁鴨たちが浮かんでいる様は、なかなかおつなもんです。島のあちこちにある溜め池はこうした水鳥たちの格好のねぐらになっています。

 冬はバードウォッチングに格好の季節です。
 20世紀から21世紀に代わって行く今年の冬は、いったい、どんな鳥たちが姿を見せてくれるのでしょうか?

(写真:日一日と色を変えていく積善山)

2000.5.30
ツバメさんはやっぱり旅が好き???
 この船は島の長江港と因島の土生港を結んでいる長江フェリーのおおしま丸です。
 先日、用事で乗り合わせた時に、船長が近寄ってきて「ちょっと面白いもんを見せたげらぁ」、というので、のこのことついていきますと、2階の客室に上がる階段の下の天井に、なんとツバメさんが巣を懸けているではないですか。一瞬我が目を疑って、目をこすってもう一度マジマジと見ていると、丁度そこに親ツバメが餌を運んできました。巣の中の雛は5,6羽いるようですが、元気に親鳥の餌をねだっていました。その後、船が港を離れて航海している時にも、やはり親鳥が飛んできて雛たちに餌を与えていました。

 いままで、いろんな所に懸けられたツバメの巣を見てきましとたが、こんな所に懸けたのは初めてです。1航海の所要時間はわずか13分ですが、19往復もして朝から晩まで動いているフェリーの船上に巣を懸けるなんて、本当に腰が抜けるほど吃驚しました。

 人家に懸けた巣はスズメに横取りされたり、カラスに襲われたりで、たまにはヘビも出てきますし、さぞかし大変だったのでしょう。
しかし、ツバメにしてみれば、動いているフェリーに巣を懸けるのは、一年中、北から南へ、南から北へと数千キロを移動している訳ですから、普段と何も変わらないのかもしれませんね。穿った見方をすると、幼児期から「渡り」に対する英才教育なのかもしれない、、、、。(まさかそんなことはないか)
こんなことがあってから、何故だか急にツバメさんが偉く見えるようになりました。

写真上から:ツバメが巣を懸けた長柄フェリーの「おおしま丸」/フェリーに懸けられたツバメの巣/ツバメの巣がある階段の下


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