第3回


島々日記:98.6.23

マンボウ・ペア漂着記
 「マンボウ」は言葉の響きもさることながら、いろいろな文章に登場した夢いっぱいのお魚です。

 そのマンボウが津波島の定置網に迷い込んでしまいました。しかも仲良く2匹のペアでの登場、「人招き外灯」になった恵比寿様の心中を察して、はるばる太平洋の彼方から応援に北のかも知れません。この定置網を管理している山本輝明さんも「マンボウは縁起の良い魚なので、しきたり通り、お酒を飲ましてから海に帰って頂く。」とのこと。(ひょっとすると、このお酒は三三九度の盃になったのでは、、、)とりあえず、おめでたいと山本さん家の親子孫三代で記念写真を撮らせてもらいました。

 もともと、プランクトンを食べるおとなしい魚で、この体・形で波間にぷかぷか浮かんでいる様は、想像するだけでも楽しくなってしまいます。人生もこのマンボウのように生きてゆけたらいいのですが、、、。これまでの記録によると、海流の影響によって瀬戸内海に入って来ることもあるようだ。ちなみに、十数年ほど前にも網にかかったことがあるそうです。何かいいことが起きるかもしれませんね。

「敵艦・御座船襲来??」
 5月29日(金)夕刻、折しも、瀬戸内海を紅に染めた夕日が多々羅大橋に沈む頃、鏡のごとく静まりかえった海面に、鮮やかな朱色の船影を映し、これまで見たことのない艦船が出現した。一瞬、バック・オブ・ザ・フューチャーの世界かと思うほど時代がかっているその姿は、江戸時代の「御座船・備州」(復元船)だった。双眼鏡を覗くと、確かに、船上にいるのは、チョン髷を結った人ではなく、洋服を着た現代人ばかりでした。おまけに、船内にはビデオカメラをはじめ最新のAV機器を取り揃え、結婚式場や舞台まで備えているとか、いやはやなんとも驚きました。後でいろいろ調べた結果、岡山県の両備運輸という会社が運航している観光旅客船で、総トン数486トン、全長49.7m、定員500名で、江戸時代に大名が参勤交代のときに使った船を復元したものとのこと。どうりでケバイはずです。さしずめ、江戸時代の自家用豪華客船といったところでしょうか。ちなみに、貸切料金は1日で160万円だそうです。

 いきなり、敵艦来襲で戦争でも始まるのかと心配しましたが、まずは一安心でした。


島々日記:98.6.12

無人島に「人マネキ外灯」現われる!!
 6月某日、津波島コミュニティーアイランドに突然「人マネキ外灯」が現われた。まだ調査を始めたばかりなのでこれが何処からやってきたのか詳しいことは分かっていない。

 これまでの目撃者(岩城建設・新川健さんら)の証言によると、津波島に来る観光客が、このところ落ち込んでいるため、松原海水浴場あった賑やかな宴会大好きの「恵比寿様」がとても寂しがって、桟橋の外灯に姿を変え、90度にまで腰を曲げ「オイデ、オイデ」の姿勢になってしまったとのこと。この「恵比寿様」のお告げ姿勢をまのあたりにした岩城島の人たちは、この夏、なんとか頑張って一人でも多くの人に来て貰い「恵比寿様」を慰めようと必死になっているそうだ。

 なお、7月8日(水)には観光客を気持ちよく迎えるため、岩城港発9時の臨時フェリーで無人島の清掃ボランティアを行なう予定だそうです。観光協会の方で簡単なお弁当も用意しているそうなので、一汗かいて、スッキリしたい人は是非参加して下さい。


※ボランティア参加の問合せ先:岩城村観光協会 0897−75−2500


島々日記:98.6.11

(タコの独り言:城ノ鼻)
 長かったエルニーニョもようやっと仕舞いじゃのう。次の気象周期はどがあーになるんかのおー!あまり当てにはならん気象庁の長期予報でも聞いてみようかのおー。

 そういやぁー、この間、愛媛大学であった沿岸環境シンポジウムで面白い話が一杯あったのおー。

 いま、問題になっとる海砂ができたのは、2万年前にウルム氷河が解けだして今より80mも低かった海水面が、だんだんと高くなってきたときに波で侵食されて出来たんじゃと。いままでは、川の水が上流から運んできたもんじゃとばかり思よったんじゃがのおー。その証拠に、海砂は瀬戸内海全域に広く分布しておるそうじゃ。ただ、場所によって砂の厚さが違っとって、砂利採取業者は層の厚いところを殆ど取ってしまいよるそうじゃ。

 他にも、赤潮の発生件数も減ってきているようじゃが、海底に堆積したヘドロはそのまま残っている話とか、プランクトンを育てるのに必要な栄養塩も減って来よるんじゃないかとか、ワシら海の中に住むモンからみたら、気になる話題が一杯じゃったのおー。

 吃驚したんは、いま大騒ぎしとる環境ホルモン汚染というのは、熱帯で撒いた農薬が北極の鯨やアザラシを汚染するというシステムじゃった。

 それにしても、人間が好き勝手にやったツケをなんでワシらがかぶらにぁいかんのかのおー。

 とりあえず、梅雨の雨で流れて来る養分起源のおいしい餌を一杯食べて、体重を倍にすることが先決じゃのおー。年に一度の大食い競争かぁー。


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