島のうわさ話
第13回

島々日記:2001.12.26

島の紅葉はカブレの樹
周りを海に囲まれた岩城島は、気温の変化がどうしても遅くなり勝ちです。それで積善山の紅葉も三千本の桜が咲くのも遅くなってしまうのです。今年の紅葉はこのところの木枯らしで葉っぱのフレディー状態ですっかり散ってしまいましたが、最後まで鮮やかな紅を見せていたのがこのカブレの樹です。ご覧のとおりの美しい葉色ですが、「奇麗な花には刺がある」とおり、この樹の下を通っただけでも、皮膚に赤い発疹が出て痒くてたまらなくなってしまうのです。それでカブレの樹という有り難くない呼び名がついてしまったのです。

本当の名前は、「ハゼノキ」と言います。ウルシ科の樹木なのでカブレても仕方ないのです。果実はローソクやクレヨンの原料にもなります。鳥たちはよくこの実を啄ばんでいますが何とも無いようです。鳥が種を運ぶせいか、繁殖力も旺盛で荒れた畑などにはすぐに生えてきます。

もっともよくかぶれるのは樹の活動が活発になり新芽が出る春ですが、弱い人はこの紅葉の時期でもチャンとかぶれてしまいます。間違えて切り倒してしまうと、知らない内に樹液が飛び散っているのか、顔から手足から真っ赤なブツブツがいっぱい出て痒くて痒くてもう大変です。こらえきれなくてかきむしると、さらに広がってしまうのです。

ところが、不思議なことに、このカブレに強い人もいます。そんな人は素手でこの樹をさわっても何とも無いのです。たぶんアレルギー原因物質に対する抵抗力の個体差があるからなのでしょう。

島を訪れて、積善山に登った時はかぶれないように注意して下さい。

●写真解説(上から)
・深紅の紅葉(右)・荒れた畑にはすぐにカブレの樹が(左)
・里山の紅葉(右)・カブレの実(左)




島々日記:2001.10.2

これが島の医療・救急体制だ!
初めて、この島を訪れる人から、まず聞かれるのは、医療や救急のことです。でも、ご安心下さい。島には立派な診療所があり、福井康太郎先生という島出身の医師(56歳)が昼夜を問わず駆け付けてくれます。ホームドクターとしての信頼も厚く、お年寄りのアイドルとなっています。もっとも、康太郎先生にいわせると、安心して深酒できないのが一番の悩みとか、、。24時間体制で常に体調万全をキープしなければならない僻地医療の大変さが伺われます。

歯医者さんも診療所のすぐ隣にあって、やさしい村上始先生が笑顔で迎えてくれます。ご夫婦での診療体制は、それでなくてもうっとうしい歯痛の重苦しさをかなり軽減してくれます。
 救急体制も万全です。診療所では対応できないような急患や大きな事故には、島ならではの救急艇があります。島は橋が架かっていないので、船で運ぶことになるのです。

  救急艇は隣の弓削島にいて、119番通報があると即座に出動し、わずか10分程度で岩城島に到着します。岩城島に配備している救急車で港に待機している救急艇に積み込み、大きな病院のある近くの島(たいていは因島ですが)まで患者を搬送します。海は交通渋滞もないので所要時間は意外に短く、都会での救急病院のたらい回しなどとも無関係なため安心です。

 また、海が荒れて船が使えないというケースはほとんどなかったそうです。救急車に乗ったことのある人は、そこそこいるかも知れませんが、救急艇に乗ったことのある人には、なかなかお目にかかれるものではありません。もちろん、そんな事にはならないにこしたことはないのですが、、、。

●写真解説(上から)
・島の診療所、手前が歯科診療所(右)・お年寄りに人気の康太郎先生(左)
・笑顔が優しい村上始先生(右)・お年寄りで賑わう待合室(左)
・これが救急艇「かみじま」だ(右)・島内だけの救急車(左)




島々日記:2001.4.16

臨時積雪情報?...遠山の金さんもビックリ
4月8日の積善山の桜まつりは普段の行いがよほど良かったのか、絶好のお天気と開花のタイミングバッチシの好条件に恵まれて、これまでに無い人出で賑わいました。
全山を埋め尽くす三千本の桜並木も満開で、行き交う人々も桜を見上げては、「ほぉー..」、展望台から見下ろしては、「ほほぉー」と、ただただ感嘆の溜息ばかりでした。
これで、みなさん、前口上のとおり、間違いなく一年は長生きできるでしょう。

今年の桜は、春先の気温が低かったのに例年よりも10日ほど早く咲き始め、あっという間に満開を迎えてしまいました。まさに、花の命は短くて...でしょうか。
「残る桜も散る桜...」の言葉どおり、満開を過ぎると、はらりはらりと、もののあわれを誘う如くに見事に散っていきます。

ところが、これほどたくさんの桜が一気に散るものですから、桜吹雪が積もって臨時に積雪情報を出すまでになってしまいました。ご覧のとおり、ひどいところでは、なんと2センチの積雪状態にまで達しています。車を運転される方は、くれぐれもスリップ等に注意して、なるべく花びらを踏まないように運転して下さい。

ということで、染井吉野の桜の花は見事に潔く散ってしまいましたが、積善山には、まだ八重の桜なども残っており、山ツツジが薄紫に山肌を染めつつあります。
積善山は、まだまだ楽しみが続きます。

●写真解説(上から)
・路面を埋めた桜吹雪(右)・積雪2センチの桜吹雪(左)
・出番を待つ山ツツジ(右)・桜の根元にはワラビも(左)
・花見を兼ねた山蕗採りも(右)・世代交代・新しく植えられた桜も(左)


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